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鈴木さん
すっごい楽しいです。利用者さん達と一緒に過ごしていくと、日々、変化が目に見えるんです。今まで言えなかったのに、「ボール」って言えるようになったり、これが出来るようになったとか、それがすごい嬉しくて。その分、やっぱり衰えたり、低下していくことも多いんですけど。でもすごく楽しいな。
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山川さん
去年の大晦日、課長と二人で98歳の女性の入浴介助をしながら、その方の昔話をしてたんです。今はもう喋らないし、動けない寝たきり状態。でも、10年以上前には、まだ動いてたし下町のおばあちゃんってかんじだったと聞きました。柚子湯に入ってもらうと、湯船で気持ち良さそうでした。お風呂からあがって体を拭き、おむつを当てました。これまで満足できるおむつの当て方が出来なかったんですけど、その時、初めて“ あ、これはバシッと決まった!”と、うれしくなりました。
でも残念ながら、その日の午後、突然、お亡くなりになったんです。今、思えば、“ おむつってこう当てるんだよ、感覚として覚えておけよ”と、新人の自分に対して最後の置き土産だったのかなって。あるいは、その方を10年以上前からずっと知っている課長を、お風呂まで待っていたのかなって思うんです。
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伊藤さん
学校では、どの教科を通じても生徒一人ひとりに成長していってもらうっていう教え方をしてたね。他の学校も、職場も知らないけど、やっぱり先生が優しかったよね。学生一人ひとりを受け入れてくれる学校ですね。だから僕ら3期生が皆まとまっていたのは、大事にしてもらっていたからだと思います。
私は、久しぶりに学校に入ったんですけど、年齢的に自分に近い人もいたし、年の離れた若い人もいて、皆それぞれに人生経験や職場の経験なんかも違っていました。中には若くてもすごく苦労している人も。それぞれ違った仲間たちが互いに努力しあって勉強し卒業したんです。学校で努力したことが職場でも役に立っているんじゃないかと思います。 -
甲野さん
相当に皆からダメ出しされた記録ですね。記録ってもう、毎日毎日じゃないですか。(子どもの)連絡帳があるので、何十人も毎日書いているんです。簡潔に、そしてちゃんと相手に伝わるように書くっていうのは、本当に学校を卒業したおかげですね。すごく今、実感してます。
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甲野さん
私は職場の障がい児からも職場の同僚からも「ママ」とか「お母さん」って呼ばれているんです。ここのところ、それが定着してますね。
それから、脳性麻痺の子なんですけど、自宅では家族とすっごい会話するんです。でも、施設に入所したら、恥ずかしくて言葉も出ず、ご飯も食べられない状態だったんです。スプーン1杯口に入れることも不可能だった子が、今は自分でスプーンを持ってご飯を食べられるようになりました。それに「何?何?」って言葉が所々で出てくるようにもなったんです。その子が気持ちを許してくれたので、信頼関係が出来たからだと思います。そうでなければ、その言葉は出てこなかったし。本当に初めはこの子が入ってきてどうやって支援するみたいな感じで皆ですごい考えたんですよ。今はこの子が時々なんですけどね、「無いよ!無いよ!」と言って、何かが足りてないことや、「冷たい!」と言って、ちょっと濡れてることを、訴えられるようになったんです。すごくありがたいし、初めて聞いた時は皆で涙ボロボロ出てきて。そんなに感動させてくれたのは、あの子だけですね。
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山川さん
ふだんのデイケア( 通い)の時はずっと自分の席で集団での活動に参加されない、歩くときに介助が必要な94歳の方がいました。ただ一日お席にずっといるだけで、動くのはトイレかお風呂の時だけ。体操とかレクリエーション(以下「レク」)に誘っても絶対来ないし、やっているところを見たことがない方でした。でも、ショートステイ(泊まり)のときには、その方がレクに参加していたんです。同期の仲間がレクをしていたので、「あの人って、いつもやってるの」って聞いたら「たまに出てくるようになった、声をかければ出てくる」と言うんです。
それで、デイケアでも何とかレクに参加してもらおうと取り組みました。今では体操はほぼ毎回参加するし、レクに誘ったら来て、「じゃあ、せーのって大きな掛け声をかけましょう」って言ったら「せーの!」って声を出してくれたんです。これまでは何もせずに一日を過ごされる方なんだなって、こちらで勝手に決めつけていたのですが、本当はそうじゃなかったのかなって思いました。
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鈴木さん
今よりももっと、新しい人も含めて意見を言い合える職場にしたいですね。個人シート(個人個人の基本データをまとめたもの)が、何年も前から変わっていない部分があって、それを職場に提案して去年変わりました。お料理もみんなでやりたいと思ってて、ケガの心配もあるんですが経験することも大事かなって。お母さんたちも「いろいろ経験させてくれて、ありがとね」と言ってくれている人もいて。こういうこともぜひやっていきたいと思っています。
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伊藤さん
5年目に入って、歳をとったなりに成長してきたと感じます。今まで体操などなかなか誘いづらかった人も、少しづつコミュニケーションがとれて誘えるようになってきました。私からすれば楽しく仕事ができる、利用者さんからすれば私の支援を利用者さんに気持ち良く受け入れてもらえる、そんな関係を築いていいければいいなと。技術面では、なかなか若い人みたいに上手くいかないから、気持ちの面で頑張っていければと思います。